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【Cisco Systems】Wi-Fi 7 AP モデルとライセンス
目次
はじめに
2024年11月よりWi-Fi 7 対応のCisco Wireless製品の受注が始まり、既に多くの注文分が出荷されています。Cisco Systems社のワイヤレス製品については、当社へも構築作業や保守などのご用命を多く頂くことから、ナレッジの蓄積のために自社環境での検証と運用を開始しています。
そして、製品とライセンスが納品された2025年5月より、単体での検証や一連の動作確認を経て、現在では既に大きな問題もなくマイグレーションが完了しており、現用環境での安定した稼働へ至っています。
今回の記事では、基本的な情報として製品モデルやライセンスについてお送りさせて頂きます。
Wi-Fi 7 APのラインナップ

この記事の執筆時点(2025年7月23日)では、屋内向けに以下のWi-Fi 7 APがラインナップされています。(産業向けグレードとして屋外の6 GHzに対応するCW9179Fがローンチされていますが、日本国内では6 GHzの屋外利用が許可されていません。)
- ・Cisco Wireless 9172I(エントリークラス)
- ・Cisco Wireless 9172H(エントリークラス 有線ダウンリンクあり、壁掛けまたはデスクトップに対応)
- ・Cisco Wireless 9176I(ミドルクラス)
- ・Cisco Wireless 9176D1(ミドルクラス 内蔵の指向性アンテナ)
- ・Cisco Wireless 9178I(ハイエンド)
各モデルについて、選定へ大きく影響する特徴をまとめました。
Model | CW9172I | CW9172H | CW9176I | CW9176D1 | CW9178I |
---|---|---|---|---|---|
空間ストリーム数 | 6ストリーム | 6ストリーム | 12ストリーム | 12ストリーム | 16ストリーム |
Dual 5GHz | × | × | 〇 | 〇 | 〇 |
アップリンク | 2.5GE x 1 | 2.5GE x 1 | 10GE x 1 | 10GE x 1 | 10GE x 2 LAG、PoE冗長 |
ダウンリンク | × | 1GE x 3 | × | × | × |
アンテナ | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵 | 内蔵(指向性) | 内蔵 |
AI/MLスキャン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
BLE | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
UWB | × | × | 〇 | 〇 | 〇 |
GNSS/GPS | × | × | 〇 | 〇 | 〇 |
特筆すべきはハイエンドのCW9178Iで、10GE x 2のアップリンクを備え、LAGまたはNon-LAGでの高可用なリンクと、PoEの冗長化に対応します。これまでのAPでも6E世代のCW9136やMR57で対応していましたが、10GアップリンクはCW9176/CW9178が初となります。
また、全モデルがAI/MLスキャンのCleanAir Proを搭載しています。CleanAirはWi-Fi 6モデル(C9105、C9115など)や旧来のWi-Fi 5(AP1815、AP1830など)までミドルクラス以上の機能でしたが、Wi-Fi 7 APではあらゆるレンジで高度なRFスキャンと最適化の恩恵を受けることができます。(同じく現行のWi-Fi 6Eモデルでは、指向性アンテナのCW9166D1のみが非対応となっています。)

注意が必要な点として、Wi-Fi 6世代(C9115、C9120)まではリリースされていた、外付けアンテナモデルが存在していません。旧来も屋内APで選定されるケースがあまり多くなかったこともあるかと思いますが、Wi-Fi 7 APで指向性アンテナが最適なケース(倉庫や講堂など)では、CW9176D1が候補となります。

さらに、壁掛けやデスクトップでの設置などに最適化され、有線ダウンリンクも備えたCW9172Hは、ホテルや病院などの個室に最適な選択肢となり得ます。CW9172ではUWBやGNSS/GPSなどWi-Fi 7 APから新たにリリースされたロケーション機能を使用できませんが、Wi-Fi 7の標準機能を搭載しています。
取付アクセサリの互換性
現在リリースされている屋内用Wi-Fi 7 APでは、壁面やデスクトップ向けのCW9172Hを除いて、以下のような旧来からのアクセサリを使用した取り付けに、全てのモデルが対応しています。
- ・AIR-AP-BRACKET-1(ロープロファイルブラケット)
- ・AIR-AP-BRACKET-2(ユニバーサルブラケット)
- ・AIR-AP-T-RAIL-R(天井グリッドクリップ 埋め込み型)
- ・AIR-AP-T-RAIL-F(天井グリッドクリップ フラッシュサーフェス)
- ・AIR-CHNL-ADAPTER(Tレールチャネルアダプタ)
このため、これまでCisco APを使用していた環境では、AP本体のサイズに問題が無ければ、設置面への再加工などを伴わずにリプレイスが可能となっています。
【ライセンス】オンプレミス、クラウド、ハイブリッドで統一
Wi-Fi 6E APから、オンプレミス管理(C9800 + Catalyst Center)とクラウド管理(Meraki)で共通のハードウェア展開が始まっていましたが、購入時から管理方法を変更するにはライセンスの調達やAPのOS切り替えなどに個別の手続きが必要でした。
Wi-Fi 7 APからはライセンスが共通化され、以下のどちらかを年数単位で購入するのみとなっており、オンプレミスからMerakiへのライセンス切り替えや、APの管理方法もユーザー側で実施が可能です。
- ・LIC-CW-A (Cisco Wireless Advantage ライセンス)
- ・LIC-CW-E (Cisco Wireless Essentials ライセンス)
これらのライセンスにはオンプレミスとクラウド双方で管理する場合の機能セットが含まれており、ライセンス体系が非常にシンプルとなりました。さらにCisco Spacesの機能セットもバンドルされているため、これまではCisco Spacesを使用していなかったユーザー様にも、お試しや導入を頂く契機となるかと思います。
【オンプレミス管理】WLCのOSバージョン
オンプレミス管理でWi-Fi 7 APを使用する場合、WLCは以下のバージョン以上である必要があります。
- ・CW9176I、CW9176D1、CW9178I:IOS-XE 17.15.2 以降
- ・CW9172I:IOS-XE 17.15.2b 以降
- ・CW9172H:IOS-XE 17.17.1 以降
この記事の執筆時点(2025年7月23日)でTACがWi-Fi 7 APに推奨するビルドは、「IOS XE 17.15.3 with APSP and SMU」となっています。このため、現時点でCW9172Hは長期サポートが計画されているトレインで使用できないので、オンプレミス管理で実環境へ導入するには注意が必要です。
また、既にEoLを過ぎていますが、11ac Wave 1世代の屋内アクセスポイント(1700/2700/3700)はIOS-XE 17.15.xではサポートされないため、Wi-Fi 7 APを待っていてマイグレーションが完了できていないなどの事案では、移行計画を慎重に検討することが重要です。
【クラウド管理】Meraki運用
クラウド管理でWi-Fi 7 APを運用する場合、Meraki DashboardからSubscription Claim KeyでライセンスをClaimします。この際に、認証情報をオンプレミスのライセンス管理であるCisco Smart Software Manager (CSSM)とリンクすることで、1つのサブスクリプション契約をCSSMとMerakiの双方から参照することが可能になります。
※この処理を行うと、CSSMにMerakiからClaimされたライセンスが所属するVirtual Accountが自動的に作成されるため、ライセンスの使用状況はCSSMでも確認可能です。
【ハイブリッド管理】オンプレミスWLCのクラウド監視
これまでは物理アプライアンスのみが対象だったMerakiでのオンプレミスWLCのCloud Monitoringが、直近のアップデートでC9800-CLにも対応しました。これによって、対応するCatalyst Switchと統合してMeraki DashboardでのMonitoringを行うことも可能となるなど、オンプレミスとクラウド、そしてハイブリッドのようにユーザー様や環境毎の様々な形態で運用管理を行う選択肢が整ってきています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
筆者個人の感覚ですが、Wi-Fi 6Eから対応した6 GHzやWPA3などの新たな要素、そしてWi-Fi 7で新たに追加された機能などに、利用者側の適応が全く追いついていないようにも感じます。また、一部ではある意味で見切り発車のような製品もリリースされていたことも、更に混乱を招く要因となっていたのではないでしょうか。Cisco WirelessのWi-Fi 7 APは、IEEE 802.11beがPublishedとされ、しっかりと規格へ準拠してからのリリースとなっているため、この点については安心してご採用頂けるかと思います。
Merakiとの統合についてもWi-Fi 6E APではハードウェアのみであったものが、ライセンスも統合されることでさらに柔軟な運用と投資計画が可能になりました。更にはC9800-CLを含めてオンプレミスWLCのCloud Monitoringでハイブリッドな管理が提供されるなど、あらゆる形態のユーザー様にメリットを享受して頂けると感じています。
今回の記事ではWi-Fi 7 APのラインナップやライセンスなど、プロダクトのご紹介が多くなってしまいましたが、次回は当社が実際に行った検証やユーザー様向けの役務から、技術的な情報と多く頂いたお問い合わせなどについてお送りさせて頂く予定です。
この記事が、ご覧いただいた皆様へ少しでもお役に立てば幸いです。
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